今月の法話

平成21年6月

往生間違いなし!

 私たちは南無阿弥陀仏とお称えすれば、必ず極楽へ往生できるという、ご本願を拠り所としてお念仏をお称えするのですが、皆さんは自分自身の極楽往生を間違いないと自信を持って言い切れますか。
 平成20年12月、尊敬していた伯父が遷化僧侶が往生することいたしました。浄土宗の僧侶として、檀信徒の方への念仏教化はもちろん、刑務所や拘置所に出向いて、被収容者に人の道やお念仏のみ教えを説く人でした。そんな伯父のお葬式は、家族親戚、檀信徒や友人、沢山のご縁の方に見送られての温かい式でありました。
 ところが喪主である従兄弟が、「中陰の法要は行わない。」と言い出したのです。親戚は困惑してしまいました。理由を尋ねると、「あれほど一生懸命お念仏をお称えしていた親父だから、往生間違いなしや。だから親父に中陰は必要ない。」というのです。
 しかし、ご臨終の折に「我、元極楽に在りし身なれば、定めて帰り行くべし」との、お言葉を残された法然上人のようなお方の場合ですら、ご入滅の後には、一番弟子の法蓮房信空上人を中心に、高僧、弟子等が導師を勤め、七日七日の中陰仏事が四十九日まで厳修されているのです。
 従兄弟の気持ちと法然上人の中陰仏事の事実の狭間で、私の心は悩んでおりましたが、四十九日を目前に従兄弟が、「信空上人の送る立場の気持ち」が理解出来たと急遽、檀信徒の方々と共に「追善別時会」をもうけ、満中陰の仏事を営んでくれました。私もほっと胸を撫で下ろしたことでした。
 「往生間違いなし」となかなか自信を持てない私たちこそ、素直に「信空上人の送る立場の気持ち」を頂戴し、先に往生される家族の中陰仏事と追善供養に勤しみ、益々お念仏精進して勤めなければと痛感したものであります。
                                     

合掌

大阪 浄念寺
坂下雅裕

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