今月の法話

平成21年7月

敵は我にあり

 今年は5月にマスクが売り切れになるという前代未聞の出来事が有りました。世界中で新型インフルエンザが大流行し、死者まで出たのです。国内では、神戸の高校生から始まり全国へと拡がっていくかと思われましたが、毒性の弱いウイルスだということが解り、6月には、ようやく落ち着きを取り戻しました。
 しかし、よくよく考えてみれば、マスクをしても、いくら手を洗っても防ぎようのない猛毒があります。 それは三毒煩悩と言われるものです。貪欲(むさぼりの心)・瞋恚(瞋りの心)・愚痴(ものの道理に暗い)が、ウィルスのように外から入って来るのではなく、我々凡夫の内側から垢のように次々と沸き上がって来るのです。だから、三毒のことを三垢とも言われるのです、そして、その毒に侵されていることに気づかずにいると、欲や瞋りの為に身をも滅しかねないのです。際限のない欲の心がある為に借金までして悪い投資話に手を出し、だまされたと瞋る人がある。冷静に考えれぱ、おかしい話だとわかるはずなのに、愚痴の心でものの道理がわからなくなっているのです。
 さて、この三毒に我々はどう対処すればよいのか。答えは只ひとつ。まず、貪・瞋・痴という毒に我が身が侵されていることに気づく、そして、法然上人のお示し通り、南無阿弥陀佛とお念仏を申し続けることが、何よりもの特効薬なのです。
                                     

合掌

大阪 正覚寺
阪口祐彦

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