今月の法話

平成22年1月

善き年を迎えて

 「門松は 冥土の旅の 一里塚
   めでたくもあり めでたくもなし」

 ご存じの室町時代の名僧一休禅師のお歌とされています。
 禅師は新春にこのお歌を歌いながら町中を歩かれたという逸話が伝えられています。
 「おめでとうございます」と新年を迎えることは明るく慶ばしいことでありますが、その一方では余命が短くなり心細いことでもあります。別の言い伝えでは、このお歌の下の句は「馬篭もなし 泊まり家もなし」とこの命つきて冥途への道筋には乗り物もなく、休む宿もなく独り旅立たねばならず、命のあるうちに、しっかりと仏道を求めなければならないと諭されておられます。
 うれしいことに、私たち浄土宗法然上人の教えでは、生前、自身が唱えた「南無阿弥陀仏」のお念仏の功徳によって、命終わるとき阿弥陀様がお迎えに来て下され、西方極楽浄土に往き生まれさせていただくことが出来るのであります。
 新たな年を迎えて、お念仏生活をさらに深め、この世のちの世も安心出来る、めでたい善き年となるように勤めたいものです。

合掌

北海道第二 天龍寺
松岡玄龍

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