今月の法話

平成23年1月

還愚

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
 仏教ではお釈迦様入滅にゅうめつ後、時代とともに教えは衰退し(正像末しょうぞうまつ三時観さんじかん)、人間はどんどん悪くけがれ、環境は劣悪れつあくになっていく(五濁ごじょく)と説かれています。時代がすすむにつれ、社会環境が変わり、人柄もどんどん変わってまいりました。
 平和に見えても朝鮮半島やパレスチナやアフガニスタンなど、いたるところで争いが絶えません。戦争に正しい戦争というものはありません。 又、便利さや快適さを求める人間のエゴが、CO2の削減基準が後退しかねない状態であります。
法然上人ほうねんしょうにんはそんな私たち人間の姿に対し、ご自身を「智徳不足ちとくふそく」、「愚癡ぐちの法然房」とまで仰せられ、末法まっぽうの時代に生きる人間の存在を「愚者ぐしゃ」とおさとし下さいました。
「還愚」、「愚癡にかえる」とは、そうした私たち自身の本当の姿を省みることであります。私たちはしっかりと自覚しなければなりません。
 今年は法然上人が御往生ごおうじょうなされて800回忌を迎えます。上人が誰でもが救われていく教えである「念仏(阿弥陀様の御名を呼ばせて頂いていくこと)」を申すことで、精神も肉体も救われてまいることが上人の教えからうかがえます。生きている事が実感できます。
 南無阿弥陀仏とお呼びすることが浄土宗の教えでもあります。優しい人柄に変わることが出来るのです。
    

合掌

福井 浄国寺
佐野純雄

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