今月の法話
おひさま
連続テレビ小説「おひさま」。わたしはこの「おひさま」が大好きで毎朝楽しみに見ております。主人公の陽子さんは、「太陽の陽子だよ」と幼い頃から親に聞かされ、本人もいい名前だと自負し、名前に負けないようにと発奮し、明るく力強く困難を克服し、周囲の人たちをも幸せにしていく姿は大変に感動的でちょっぴり涙が溢れます。
太陽の特性とはすべてを受け容れるあたたかな包容力と、もう一つは、毅然とした厳しさに尽きます。お念仏の元祖様・法然上人こそは、まさに太陽の如きお方であると宗内外の方々にそのお徳を伝えさせていただくことができましょう。
太陽の如き法然上人さまの「あたたかな包容力」とは、どのようなお姿をもってそういえるのでしょうか。法然上人こそは一番に当時の底辺に生きた一般民衆を愛されたお方でした。仏教の学問や修行は疎か、読み書きにも縁遠い民衆や、自分は罪深く地獄必定の愚か者であると自覚している人々に対して、同じ目線で温かく接してゆかれたのであります。「あなたの称えるお念仏も、私の称えるお念仏も少しも価値に変わりはないから、お念仏を申すことで必ず共にお浄土に救われてゆく身である」と説かれました。ある時は、「眠たくなったら寝て、目が覚めたらお念仏を申しなさい」とも仰せになったことをもってしても太陽の如きおおらかなまた柔軟さもあわせた包容力を持ったあたたかなお方が法然上人であると申せます。もう一つ、太陽の持つ毅然とした厳しさとは、殊の外、往生極楽のことに関してだけは「お念仏以外はダメ」とこれだけは誰に対しても、いかなる困難に遭遇しても断固として枉げず信を貫かれたお方であったことです。
多くのお弟子方も一般の民衆も太陽の如き法然上人を仰ぎ慕い、「雲霞」の如く」、「燎原の火」の如く、日本国中にお念仏の声が昂っていったのであります。
合掌
滋賀 西方寺
安部隆瑞