今月の法話
平成23年10月
八百年大遠忌
夜空に浮かぶ、お月さまの奇麗な季節となりました。
人類で初めて月面に立った宇宙飛行士は、遥か彼方の宇宙からわが大地・地球を眺め、地球の美しさに思わず「地球は青かった」と美しい星「地球」に涙を流し、敬虔な気持ちで祈らずにはいられなかったそうです。
私たちは涙が出るほど有難い自然につつまれ、自然の恩恵に生かされて日暮しをしていることに思いをかけません。
私達を救おうとされる阿弥陀さまの本願他力は、月の光にたとえられ、分け隔てなく平等にお慈悲の光をそそいで下さっています。宇宙飛行士の喜びのように、お慈悲のみ心を喜び、涙し、口にお念仏を申していかねばなりません。
法然上人がある日のこと、二祖聖光さまに、「ここにいる、先日入門したばかりの弟子が申すお念佛と、私が申すお念佛と、どちらが優れていると思うか」と尋ねられました。
「法然さまの方が優れております」と答えられました。すると、「阿弥陀さまのお慈悲に救われたい、包まれたいと頼んで申すお念佛に、どちらが優れているも何もないのだよ」と申されました。
「月かげのいたらぬ里はなけれども ながむる人の心にぞすむ」
佛さまのお慈悲を頼み、口にお念佛を称えることが大事と歌われた、法然上人のお歌です。
気がつくと今日も日暮れて、徒に毎日を過ごしがちな私達ですが、そんな私でも必ず救うとお慈悲の光を下さる佛さまを心に頂戴して、明るく力強くお念佛の声の中に、日暮らしをしましょう。
いよいよ法然上人八百年大遠忌が、総本山知恩院で今月開筵されます。
またとない勝縁に、是非お参り下さい。
合掌
京都 大善寺
羽田龍也