今月の法話

平成23年12月

心は誰にも見えない

 先日、お参りのために電車に乗った時のことです。乗り合わせた車両はほぼ満席で立つしかありませんでした。次に停まりました駅で、斜め前に座っておられた方が下りられたので、座らせて頂こうと思っていたら、横から二人ずれの若い方が座られました。若い方の行動に驚くのと、自分が座らせてもらおうと思っていた思いが打ち破られてガッカリしました。そんな二人を眺めていますと、前に座っておられた方が、気の毒と思い席を立ってくださいました。「ありがとうございます」とお礼を言って座らせて頂きました。立つよりも座ることの方が有りがたく思う年になりました。

 中には席を譲って下さっても、まだまだ若いものには負けないぞと、その健在ぶりを発揮しようと座られない方をお見受けいたします。公衆の面前で席を譲ることはすごく勇気のいることです。その勇気を出して席を譲ってくださる思いを受け止め、若い方であっても譲っていただいたお礼を申すべきでしょう。当たり前の様にお座りになる方もありますが、感謝の気持ちを忘れてはなりません。
 「心は誰にも見えないけれど、心遣いは見える」「思いは見えないけれど、思いやりは誰にでも見える」「その気持ちをカタチに」という広告がありました。心遣いや、思いやりを受けたときは、感謝の気持ちを形で表すことが大切です。

 阿弥陀様はいつも私達を大慈悲の心で見守って下さっていますが、私達はそれに応えているでしょうか。いつでもどこでもどんな時でも、「南無阿弥陀仏」と申すだけで阿弥陀様の救いを頂戴できるのであります。感謝の気持ちを表す言葉「南無阿弥陀仏」。皆様もご一緒に同唱十念。今年一年ありがとうございました                  

合掌

大阪 堤法寺
小林忠和

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