今月の法話

平成24年2月

思いをひとつに

 地元、岸和田が舞台となっているNHKの朝ドラ『カーネーション』が高視聴率である。愚僧も不思議のご縁で、僧侶として三度出演させていただいた。その中で全国にお念仏の声を届けることができ、誠に有難い思いでいる。戦中戦後の苦しい時代やさまざまな問題にも、決してくじけない主人公の糸子の姿が見ている者の心を打つのである。だんじり好きのおてんば娘が「女にしか出来んことを見つけて自由に生きたい」と裁縫の道を選ぶ。「着るものによって人は変わる」という信念のもと、和服が当たり前の時代にいち早く洋服に目をつける。彼女の思いはただひとつ―「洋服でみんなを幸せにしたい」それが見事に花開いて、後にファッションの世界で大活躍するコシノ三姉妹を育んでいくのである。

何事も思いをひとつにしぼると大きな力となる。あれもこれもでは力が分散してしまう。

我々凡夫の目指すところはひとつ―西方極楽浄土、そしてそこに到るためには「南無阿弥陀仏」のお念仏ただひとつ。うれしい時、悲しい時、苦しい時、いつでもどこでもだれでも、ただただ「南無阿弥陀仏」と申すのみである。だから、今、ここで、この私がお念仏と共に生き、お念仏と共に西方極楽浄土に向かって決してあきらめずに進んでいくのである。800年前、法然上人の思いはひとつ―「すべての人が救われる道はお念仏」その思いを素直に頂戴し、ただひたすらお念仏を申してまいりましょう。      
                  
                                  

合掌

大阪 正覚寺
阪口祐彦

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