今月の法話
平成24年10月
東日本大震災と阿弥陀様
東日本大震災が発生してから、早くも20ヶ月を経過した。12月に本堂を完成し、落慶法要の計画を立てていたときの大災害である。避難所に指定されている本堂下の私立保育園から、保育所の上の新築された真新しい横10間半、縦12間の本堂青畳のなかに、総勢240名を越す避難民が瞬く間に一杯となった。
3月初旬の気温は零度前後、停電、断水のために暖房のない本堂は、人息でむんむんするが、寒い。法事で檀家さんがご本尊様にお供え下さったお菓子や果物を出す。引き出物でいただいた毛布やシーツなど、寝具になりそうなものをすべて放出。それでも足りなくて、広間から座布団などを出して寝具の代用にしていただいた。
寺の家族は大人3名に孫が1名である。いつも食料は、無くなればすぐにスーパーに飛んでゆくので、米などの買い置きがほとんどない。わずかに残っていたお米をおかゆにして出した。次の朝には、市から緊急用の食料が届けられるものと思っていたが、3日たってもいっこうに届けられない。近くの自衛隊に事情を話すと、驚いて緊急食料を届けてくれた。
こうして、6月11日まで丸3ヶ月間、本堂の阿弥陀様とお念仏の中に避難生活をしていただいた。最後になりましたが、全国からのいろんなご支援に改めて人としての温かい絆をいただいたことに、衷心から感謝申し上げます。
合掌
宮城 淨念寺
高橋清海