今月の法話
平成25年6月
すべては仏さまのおかげ
法然上人が説かれた教えを集められた『和語灯録』には、私たちが、すべての衆生を救う阿弥陀仏を一心に念じていれば、死んだあとに極楽浄土へ渡してくれるという教え(浄土教)を説かれたのでした。
さて、病の方は、「病は気から」ということわざがあるように、日本人は昔から「病気は気持ちの持ちよう一つで悪くも良くなる」と教えられてきました。実際に近代医学の研究では、軽い風邪の場合、胃薬を風邪薬と信じ込ませて病人に飲ませると、その半数以上は「薬を飲んだ」という思い込みの効果で、病状が軽減されることがわかっています。つまり、「病は気から」は医学的にもまんざらいい加減な話ではないわけですが、気の持ちようだけで完治しない病気、治る術のない病があるのも、また事実です。
法然上人は、そうしたすべての病気に苦しんでいる人たちの心を察して、阿弥陀仏を信じることで気持ちを強く持ち、何事も良いほうへ考えなさいと「死生共に煩い無し」の道歌を説かれたといいます。治る病気を患った人は「病は仏を信じ自分を見直す機会」と感謝して、その原因を自照し、反省すべき点を心身の糧にする。また重い病気の人は「病は苦しみと対峙し、自らの心を大きく育てる仏の恩恵」と受け止めて感謝する。このように仏様を一心に信じる感謝の心が持てたならば、仏様が極楽浄土へ導くことを確信し、どんな病にあっても心は安らかになる。何もうたがわず、信じるものは救われる、念ずれば花ひらく。毎日のくらしの中に、お念仏を・・・。南無阿弥陀佛。
合掌
北海道第一 長福寺
梅庭英良