今月の法話

平成26年9月

目指す世界

 いよいよ秋のお彼岸です。さて「彼岸」とはいったいどういう意味でありましょうか。それは我々凡夫が目指すべき悟りの世界のことです。
 今、世の中では「天国」という言葉が氾濫しています。仏式でお葬儀をされているのにも拘わらず、老いも若きも人の死に対して「○○さん、どうぞ天国で安らかに、、、」などと言う人が多くなっています。その原因はテレビや新聞などマスコミが、死後に向かう世界=「天国」という間違った表現を一様に使っているからです。キリスト教信者なら天国が目指すべき理想の世界でありましょうが、仏教で目指すべき世界は「浄土」、とりわけ我が浄土宗では「西方極楽浄土」です。その事をはっきりと認識していないと教養としても誠に恥ずかしい事になります。
 現在、「天国」という言葉は単に「死んだ」という意味だけで使われているのかも知れません。しかし、生前どんな行いをしても総ての人々が「死ねばみんなパラダイスに行けるのだ」と勘違いしたなら、煩悩の命ずるままに生きて、後に地獄の苦しみを受ける事になりかねません。
 我々凡夫が目指すべき世界はあくまでも「極楽浄土」であります。そして、そこに行くための手だてがお念仏であります。どうぞ毎日お念仏を申してください。そのことによって間違いなく、彼岸=極楽浄土に行きつくことができるのです。

合掌

岸和田 正覚寺
阪口祐彦

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