今月の法話
平成26年10月
生前整理
この夏、この秋、お墓参りやお寺参りに行かれましたか。お仏壇の前でご先祖さま始め諸々の仏様に合掌し、お念仏申されましたか。ご自身だけでも結構。ご家族やご親類とご一緒なら尚結構です。
子どもの小さい手を合わせている姿を見ていると思わず笑みがこぼれます。
最近、親の家を片付けるのに苦労するという話をテレビや新聞でも目にします。『断捨離』や『老前整理』など、本もたくさん出版されています。
要は物に執着するから捨てられない。廊下や階段にまで物が溢れ、それにつまずいてケガをするということもあります。
私の叔母も年老いて介護施設に入る時には物が溢れていました。施設に持っていける量は限られています。洋服や着物、日用品など、たくさんの物の中から選択するだけでも大変。当の本人は自分の身体のことで精一杯。結局は周りの人が使うか、着るか、選択。山と積まれた不要品には手を合わせ、「今までありがとうございました。南無阿弥陀仏・・・」と、執着から解き放ちます。
「物の整理は心の整理」と言われるように、今大事なものは何か。まだ元気な内に身の回りをシンプルにすることが大事であると痛感します。
そして、いざお迎えが来られた時に、遺された人達が困らないように伝えて欲しいことがあります。
それは、我が家の宗旨は浄土宗で、宗祖は法然上人で、「南無阿弥陀仏」と称えることによって、後生はお浄土に往生出来るというみ教え。そして、総本山は京都の知恩院さん。菩提寺はどこで、お墓の所在地はどこで・・・等。
これも生前に行える整理の大事なことの一つとして捉えて頂き、これからの人生、心満たされて生かされるよう、お念仏のみ教えを後世に相続して頂ければ有難いです。
合掌
兵庫 常楽寺
浦上博隆