今月の法話
平成26年11月
染むる心
例年十一月に入ると、山々の木々が色づき紅葉の季節になります。叉知恩院や京都のご寺院に色づいた紅葉を見ようと大勢の観光客が訪れてにぎやかな季節になります。
木々の様子が、黄色や赤というように様々に彩られ染まっていく様に、法然上人は、信仰への深まりを表現されるために次のようなお歌をお詠みなられました。
阿弥陀仏に 染むる心の 色に出でば 秋の梢の 類いならまし
この歌でお念仏により信仰が深まっていく様子が分かる大変味わい深いお歌でございます。私たちが法然上人のような心境に一歩でも近づかせていただくには、何よりも毎日のお念仏こそが大切なのです。しかし、有り難いみ教えと分かっていてもお念仏が特別なことと思うと、なかなかできないのが私たちではないでしょうか。
大リーグで活躍されているイチロー選手がこういうことを言っておられます。
「特別なことをするために特別なことをするのではない、特別なことをするために 普段どおりの当たり前のことをする。」
お念仏を申すと言うことは、特別なことではなく、普段の生活をすると言うことで、いつでもどこでも誰にでもできる簡単な行です。お念仏の生活を続けていくことにより、より信仰を深め、さらによりいっそうお念仏という行に打ち込むことによって、まるで山々の木々が紅や黄色に染まるように、この心を阿弥陀さまによりいっそう向けられるようにしていくことが私たちの一番の勤めです。ぜひ共々にお念仏の生活に今まで以上に励んでまいりましょう。
合掌
兵庫 安楽寺
曽和正宏