今月の法話
平成26年12月
今年一年をふりかえって
「此れをせん 彼をもせんと思えども為し果てぬ間に年は暮れけり」
早いもので今年も一か月を残すだけとなりました。歳を重ねるごとに、一年の経過が早く感じられてなりません。
今年一年を振り返り見て、二度とあと戻りできない日々をいかに大切に過して来たかと反省、慙愧のいたりであります。
人間にとって一番大事なのは時間です。その大切な時間を徒ら無駄に過ごしているのが私達人間です。それだけではなく、三悪道(地獄・餓鬼・畜生)に堕ちていかねばならない種まきをしている自分が、御念仏を申せば、仏さまの光に照らされて見えてまいります。
広懺悔文の最初に「無始より、このかた、ないし今身に至るまで一切の三宝、師僧父母、六親眷属、善知識、法界の衆生を殺害せること数を知るべからず」とあります。
その内容は、「私たちは、いつとも知れない昔から今日に至るまでの間、ありとあらゆる人々や生きとし生けるものを心の中でも無視や殺生して今日に至っている」と教えて下さっているのです。
何か誇張的な表現にも思えますが、晩年の歳になってそのとおりの私であったとわからせていただけます。そんな罪業(ざいごう)深重(じんじゅう)のこの私を許し、なおもやさしくつつみ、お導きくださるのが阿弥陀如来のお慈悲でありました。
しかも阿弥陀如来の救済は、お救いを信じ、懺悔、念仏を申す者を、たとえ八十億劫という、とてつもない長い間、生まれかわり死にかわりして造ってきた罪業を滅して極楽浄土に迎えとってやろうとお約束下さっているのです。
だからこそ、阿弥陀如来のお救いを信じてお念仏に精進させていただきましょう。
合掌
奈良 西迎院
中村晃和