今月の法話
平成27年1月
祝聖文
新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞ布教師法話をご愛読ください。
さて、ここ知恩院をはじめ浄土宗の寺院では、お正月に一年の安泰を祈願する法要 「修正会」(しゅしょうえ)をお勤めし、この法要中に祝聖文(しゅくしょうもん)という偈文をお唱えします。
天下和順 日月清明 風雨以時 災厲不起
国富民安 兵戈無用 崇徳興仁 務修禮譲
その意とするところは、天下が太平であり、日も月も清く明らかに照らし、風や雨は時に叶い、災害や疫病は起こらず、国家は豊かで民は安らぎ、戦争の武器は用いることなく、人々は互いに仁を尊び礼儀と謙譲の道を守る。というほどの意味であります。
近年、世界各地で戦争が起き、国内では大震災や思わぬ災害が起きたり、凶悪な事件が多発したりしていますが、願わくば上記の祝聖文のように平穏な一年であってほしいものです。
法然上人は、時の関白九条兼実公の奥方(現在でいえば総理大臣の奥様ですからトップレディーであります)に宛てたご返事のお手紙に、「御いのりのれう(料)にも念仏がめでたく候」とご教示なさっておられます。
浄土宗のお念仏は、極楽浄土に往生させていただく為のものですが、法然上人は「私どもの日暮らしが平穏なものでありますようにといった「お祈り」のためにも、お念仏が最も優れた方法(れう・料)なのですよ。」とお示しくださっています。
「祝聖文」はお正月の修正会に限らず、全国の浄土宗の寺院では様々な機会にもお唱えしております。自己往生の為に併せ、全世界中が平穏無事でありますようにともお祈りしながらお念仏に励みましょう
合掌
大分 安養寺
阿部信之