今月の法話

平成28年10月

心配ご無用

『仏法は死ぬる法は教えはせぬ。死なぬ法を教えるのじゃ。
  往生という字は、死ぬるという字は書きはせぬ。往き生まるゝと書くぞよ。
 この通りに心得て、精出してお念仏を申さっしゃるがよい。』
                        (『徳本上人勧誡聞書』)

 秋の深まりとともに心落ち着く季節となりました。秋は宗教の季節ともいわれますが、そんな季節に心に留めたいお諭しでございます。江戸時代後期の浄土宗僧で、お念仏教化の行く先々で熱烈な帰依を受けた徳本上人というお念仏行者のお言葉であります。
 さて、現在全国100歳以上の高齢者が6万人を越えたそうですが、さすがに200歳を迎える方を存じ上げません。どんなに元気であっても、いずれはこちらを離れなければならない私達であります。そんな私達にお釈迦様はお示し下さいました。
 心から阿弥陀ほとけのお救いを信じお念仏する人を、一人も漏らさず
 極楽のお浄土にお連れしますよ。
 こちらの世界を離れた時、お念仏申す私達は消えて無くなってしまうのではありません。大切な方々が待っておられる極楽のお浄土に参るのであります。往き先があるのです。
 先の事など何の心配もないのであります。
 ですから、父と母から頂戴したこの命大切に、只々阿弥陀さまを信じ切って、お念仏の中に今を精一杯生活して参るだけなのであります。
                                     

合掌
   

                             

山形 専念寺
佐藤康正

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