今月の法話
平成29年6月
お念仏の花
「因縁をつけられた・・・」というと、普通は言いがかりをつけられた、という意味ですが、「因縁」とは、お釈迦様が説かれたこの世の在り方のことなのです。物事には必ず因(原因)があり、それが縁(諸々の条件)にふれて、果(結果)が生ずるということなのです。
ここに一粒の花の種があるとします。それを机の上に置いて眺めているだけでは、いつまで経っても花は咲きません。適切な時期に、適切な土の深さに植えることが必要です。さらに、適切な水や陽の光に恵まれて初めて花が咲くのです。仮に二粒の種を同じように蒔いたとして、片方は花を咲かせても、もう片方は鳥に食べられたり、踏みつけられたりして、花を咲かせられないかも知れません。
何事も因と果の間に縁が働きかけ、あらゆる物事は、この縁の関わり方によって結果も変わってくるのです。因・縁・果という成り立ちを充分に認識した時、ものの見方、考え方が変わって参ります。
自分がどんなに努力しても、それだけでは結果は生まれないことが多いのです。どうしても周囲の人の援助が必要なのです。今こうして生きている事だけでも、たくさんの縁を頂き、その中で生かされているのです。様々な因縁を深く感じた時、人は謙虚に生きられるようになるのです。
私達は、お念仏の教えに遇うことができました(因)。そのお念仏を称えるか称えないか(縁)、そのことによって大きく人生は変わってくる(果)のです。
日々、お念仏に励んで参りましょう。
京都 天然寺
城平賢宏