今月の法話

平成30年1月

極楽浄土とつながる

私事ですが、昨年11月に先代住職である父が往生しました。父は大の世話好きでした。特に息子の私には顕著で、私がものごとを実行する前に大抵のことは父が道筋をつけてくれました。私は恥ずかしながらそんな父が疎ましく思えて、「自分でするから」と露骨に嫌悪感を示したり、できるだけ近づかないようにしていました。
しかし父が余命幾ばくも無くなったときに、過去を振り返ってみると常に自分が守られていたことに気づいたのです。
そして臨終には意識が薄れていくなかで、父はずっと反発していた私を抱きしめて、そして阿弥陀様のお迎えをいただき極楽往生いたしました。
これからは阿弥陀様とともにお浄土から私を導いてくれることを有り難く思います。

さて、昨今はSNS(ソーシャルネットワーク)が発達して、いろんな人とつながることができ、自分の世界を広げることができます。一方で座間事件のように悪い縁に触れて事件に巻き込まれたり、ボタンの掛け違いから、他人を傷つけてしまう危険性もあります。

そのような縁に遇わないように、人間間のつながりに加え、極楽浄土にいらっしゃる阿弥陀様や先立ちし人ともつながることも大切です。私たちが「南無阿弥陀佛」と称えることによって、阿弥陀様は慈しみの光を私たちにもたらしてくださいます。その光によって、私たち自身が救われるとともに、心穏やかになり、他人に対しても慈しみの心を持てるのです。
今思えば、父も日々お念佛を申すことによって、家族や他人に対して慈しみの行いができていたのかもしれません。

常にお念佛を申し極楽浄土とつながり、自分の行いに対して、お浄土の方々が喜ばれているのか、悲しまれているのかを点検しながらともどもに日々の生活を送りたいもです。

合掌

兵庫 東光寺
平井隆祐

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