今月の法話

平成30年2月

随順佛教

テレビや新聞を見ていると、毎日のように色々な犯罪が報道されています。ひとつひとつ内容を見ていくと、なぜそのような事をしてしまうのかと思うことが多々あります。

都市犯罪に悩まされていたアメリカで「割れたガラス理論」という理論が以前発表されました。大きな犯罪も一枚のガラスから始まるという事です。
例えば住む人が少なくなった建物のガラスが、いたずらで一枚割られます。それを放っておくと、これが誘い水となり、次々に窓ガラスがたくさん割られて、やがてそこには人が立ち寄らなくなり、建物が 荒廃してしまいます。
そして、そうした建物がやがて犯罪の温床となると言われています。つまり大きな犯罪というのは、たった一枚のガラスを放置することから始まるということです。

佛教は廃悪修善、悪いことをしないで善いことを修めるということです。こんな当たり前のことすら出来ないのが私たちです。また、自分では気をつけていても悪縁に巻き込まれて罪を犯すこともあるかもしれないです。

だからこそ法然上人は『善き地に善き種を蒔かんがごとし。構えて善人にして、しかも念佛を修すべし。これを、真実に佛教に随う者というなり。』(御法語後編二十一章)というお言葉を残されています。

私たちは、出来るだけ悪い縁を遠ざけ、善き縁を近づけなければなりません。なによりも一番善い縁とは、お念佛を称えて阿弥陀さまにお迎えいただき、苦しみ迷いの世界から西方極楽浄土に往生することです。この善い縁がより一層強くなるように、日々のお念仏を励みたいものです。

合掌

兵庫 安楽寺
曽和正宏

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