今月の法話
今月の法話 仏神擁護
日ごとに秋の装いも色濃くなってまいりました。
今年の自然災害、台風や地震、豪雨などによる国内各地の災害犠牲者に対し、心より合掌し離苦得楽超生浄土のお念仏ご回向を捧げます。また甚大な被害を受けられた多くの被災者の皆様に対し、謹んでお見舞いを申し上げます。総本山知恩院の被害報告の書面に目を通しました時、これまた棟数の多いあちらこちらの諸堂宇の多大な被害状況で、言葉が見つからぬほどであります。
お念仏のふるさと総本山知恩院の素晴らしい雄姿は、いつの時代も全国お念仏の信徒の誇りであり、お念仏生活の何よりの活力源でありますから、何卒一日も早い境内外の建物や景観が復旧されることを願って、皆様と共にお念仏の声をさらにいや高くお称えいたしたいのであります。
去る9月4日の台風21号一過、数日後に檀家のおうちへ月参りにまいりました。お勤めが終わりお茶を頂戴しながらその台風の話題になりました。85歳になるおばあちゃんが今を去る半世紀以上前の甚大な被害のあった「第二室戸台風」(昭和36年9月16日)の当時を振り返り、昨日のことのようにお話をしてくださいまいた。
「その日、主人は仕事に出勤。古い時代の茅葺きの家で、雨戸は閉めてあるけれど雨戸の上の明かり窓の細い障子の紙が風で破れ、強風が家の中まで吹き込み、障子が弓のように曲がる。
おばあちゃん(当時60歳ほど)、娘2人(幼児)と私(話をしてくれている人が当時20代後半)。みんなで障子が飛ばないように押さえていた。
その時、おばあちゃんは南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏とお念仏をお称えしていた。あの時は、本当に怖かった。」と。
さすがに昔の人は、お念仏と共暮らしでした。
現代、次々と起こる巨大災害に、お念仏を称えて一旦緩急の時に臨む人が何人あるでしょうか。
合掌
滋賀 西方寺
安部隆瑞