今月の法話

令和元年7月

蝉とお念仏

蝉の鳴き声が聞える夏になりました。

法然上人のご道詠に
 阿弥陀仏と 心は西に うつせみの
      もぬけはてたる 声ぞすずしき
とお示しくださっています。

お念仏を一心にお称えしておりますと、心はいつの間にか西方浄土へ導かれるものです。
その時、そのお念仏の声はちょうど夏の空蝉のように、身はこの世にありてその声はお浄土にありて、美妙な響きとなりてこの世へお伝えくださるでしょう。(併せて、この世の人を現身とも言われ、生命が旅立った後は空蝉のごとしと示されています)

夏の蝉は朝に夕に、雑念なくにぎわって鳴いています。私たち、阿弥陀さまの光を受けている現身ですから、まごころを一心にそえて「なむあみだぶつ」と共にお称えいたしましょう。その声は西方浄土に響きわたり、おのずから、みずからの上にやすらかさとなごやかさと、この世をはるかに超えた「涼しき声」をお与えくださいます。

合掌

山口 長命寺
川端勝教

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