今月の法話
令和元年11月
無常の世界を生き抜いた先に
この度の台風19号で被災された皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。又、お亡くなりになられた方には、極楽へお救いいただけますよう、謹んでお十念御廻向申し上げます。
私が生まれ育ち、現在も生活している「浄蓮寺」は、台風15号により本堂・客殿が甚大な被害を受けました。被災に対し全国の皆様から励ましのお言葉をいただき、又、多くの皆様に瓦礫撤去等のお手伝い、更には沢山の支援物資や義援金を賜りましたこと、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
今回の経験を通して最も強く感じたことは、やはり「無常」ということでした。今日までの“当たり前”が明日も続くとは限らない。築き上げてきたものが一瞬で壊れてしまうこともある。説教で繰返しお話してきたことです。台風が過ぎ去った後、無残に変り果てた本堂のありさまを目の前にしてお伝えしてきたことに間違いはなかった。これまでお話してきたことは、人に伝えると同時に我が身に対しての教えだったんだな…ということを痛感しました。この世に「絶対壊れないもの」や「絶対安全、安心な場所」など、どこにも存在しません。私たちの生きている世界は、どこまでももろく頼りない「無常の世界」に他ならないのです。
対して、阿弥陀さまの建てられた極楽浄土は「無衰無変の世界」です。壊れることは勿論、衰えることさえありません。勿論、壊れることによって生じる悩みや苦しみ、悲しみなど一切皆無です。そんな「極楽」というお浄土を阿弥陀様は構え、しかもナムアミダブツと我が名を呼ぶ者、必ず極楽へ救うとお誓い下さっているのです。
一寸先は闇。そんな「無常の世界」も今生限り、来世には必ずや極楽へ救われ往くことを信じ願って、只々ナムアミダブツ、ナムアミダブツ…です。
千葉 量寿院
郡嶋泰威