今月の法話
令和2年2月
梵風
旧正月を迎えました。今年の1月2日、親戚の子供達が集まってまいりましたので、凧揚げをしようと近所の河川敷公園に行きました。凧糸を持った子供たちはそーれ!の掛け声と共に元気に走り出し、凧もビュンッと空に向かって飛び立ちました。
しばらくするともっと高く上げて欲しいとのリクエスト。その凧糸を貸してごらんと手元の棒を預かり、どんどん糸を限界まで引っ張り出しました。みるみるうちに凧は高く揚がっていきます。ところが最後に思わぬ事態が発生。手元の棒と凧糸が結ばれていなかったのです。凧は糸ごと飛ばされてしまいました。
手元から離れた凧はどうなるでしょうか。どこまで飛ぶのかなと見上げておりましたら、飛ぶ方向が定まらずにグルグルっと回り出し、数秒後には落ちてしまいました。凧は持ち手と結ばれることによって安定するという事がよく分かりました。
人生もまた同じ。信心の糸をしっかり仏様と結ぶことが大事です。四苦八苦の人生の中でもみくちゃにされているこの私が、仏縁を結ばせて頂いて少し上から俯瞰して人生を眺める事が出来る。落ち着いて様々な出来事を受け取る事が出来るようになる。さながら称名念佛は凧を揚げていくところの風であります。これを『梵風』と申します。南無阿弥陀仏の梵風よ、我が雑念を払い給えと念じ、日暮らしさせて頂きたいものです。
合掌
滋賀 西誓寺
奥村照真