今月の法話
姿勢を正して
先日テレビをみていると人気予備校講師として有名な林修先生が出ておられました。小中学生のお子様がいらっしゃる親御さん達に対して講演なさっているという番組です。その番組の一場面で先生はこのように仰っておられました。
「親が子供に対して注意することは実は一つだけでいいんです。それは“姿勢を正しくしなさい”ということです。姿勢の良い不良少年っていないものでしょ。たいてい道を踏み外してしまった少年たちの姿勢は悪くて前のめりになっているものです。背筋をキチンと伸ばし姿勢を正しくするということは人を正しい思考、正しい生き方に導く大切なものなんです」
何気なくみていた番組でしたが、印象に残った言葉でした。そして私たちが生活していく中で、文字通り身体の姿勢を正しくすることも重要ですが、同時に心の精神的な姿勢を正していくことも大切なことであろうと感じました。
佛教の教えの第一歩は無常ということを忘れずに生きることであると教えられます。無常を忘れず生きるということは、私たちは必ずこの世を終えていかなければならない存在であるということを忘れずに生きるということです。しかし私たちはこの現代の溢れんばかりの情報の中で、ついついこの大切なことを忘れ、目の前のことばかりに心を奪われ、一喜一憂しながら生活しているのではないでしょうか。この姿はまさに仏教的にみると心の姿勢を悪くしている生き方であるといえます。
南無阿弥陀仏とお念仏を申せば、命終わるときには、必ず阿弥陀様が極楽浄土へお救いくださるというお念仏の教えに出会っている私たちです。たくさんの情報に囲まれ、目の前のことばかりに心奪われ、前のめりになって生活しがちな私たちですけれども、お互い心の姿勢をしっかり正して、無常を受け止め、お念仏を申して日々生活していきたいものです。
合掌
奈良 永福寺
坊城慶史